無機系防ダニ剤「セグロセラ」

機能性マテリアル

無機系防ダニ剤「セグロセラ」とは

セグロセラとは、ホウ酸とセラミックスとを高温で複合化した防ダニセラミックスを、数μm~数10μmの微粉にしたものです。
セグロセラは、従来の有機系防ダニ剤のように、神経毒でダニを殺すのではなく、またダニが嫌う有機成分を揮発させ追い払うものでもありません。セグロセラはダニの水分調整バランスを崩し、乾燥状態と同様な状態にし、ダニの繁殖能力を弱めることにより、ダニの増殖抑制を行うものです。
その為、従来の有機系防ダニ剤のように揮発成分もなく、密閉された空間でも人間に何ら害を与えず、ダニの増殖抑制を行うことができます。またセラミックス質である為、500℃以上の耐熱性を持ち、不織布・フィルム・繊維などに練り込んでの使用が可能です。そのため添着などで表面に付着させる有機系のタイプに比較して、セグロセラが製品に均一に分散される為、効果の安定性と長い効果寿命が可能となります。

セグロセラ未添加培地でのダニの様子
セグロセラ1%添加培地でのダニの様子

特長

  • 従来の有機系の薬剤に比べ、セラミックス質であるので、無臭で揮発性が皆無です。
  • 保存安定性に優れ、長寿命です。
  • 急性経口毒性、皮膚一次刺激性等に高い安全性を有しています。
  • 耐熱性に優れ、繊維などに練り込んで使用でき、フトン乾燥機等の熱がかかっても効果が変わりません。

防ダニが必要な理由とは

  • ダニの生息繁殖条件
    ダニアレルギーの原因となりやすいチリダニ科、コナダニ科のダニは世界分布種であり、温度20~30℃、湿度60%以上(最適は60~80%R.H.)の環境下で盛んに繁殖します。これらダニ種は、餌として動物の代謝物(垢・フケ)を好み、ハウスダスト・カーペット・ソファー・ぬいぐるみ・寝具など人間の生活環境に非常に近い位置に多く生息しています。
  • ダニが人体に及ぼす影響
    ダニによるアレルギーの問題は、近年大きな問題として世界中で取り上げられています。特に最近の住環境は、気密性が高く一年中を通してエアコンディションが効き、ダニが繁殖しやすい環境にあります。そのためハウスダスト中に占めるダニの死骸・排泄物等の割合も高くなっています。これらのアレルゲン値は他に比して高く、少量でもアレルギーを引き起こす原因となりやすく、このような条件下では、アレルギー症状として喘息・鼻炎・結膜炎・皮膚炎などの症状が起こりやすくなっています。

特性と数値データ

防ダニ効果(増殖抑制効果)

セグロセラ練り込みパイル使用カーペット

試験ダニ:ヤケヒョウヒダニ

1.0%セグロセラ含有PA パイル 開始時 4週間後 8週間後
N1 N2 N3 N1 N2 N3 合計 効果(%) N1 N2 N3 合計 効果(%)
ブランク 109 123 116 197 184 188 569 - 589 639 642 1857 -
試料 105 109 117 331 41.8 16 8 10 34 98.1

セグロセラ練り込みPP不織布

試験ダニ:ヤケヒョウヒダニ

2.0%セグロセラ含有PP 不織布 開始時 4週間後 8週間後
N1 N2 N3 N1 N2 N3 合計 効果(%) N1 N2 N3 合計 効果(%)
ブランク 106 103 124 3223 2978 2880 9081 - 3605 3692 2871 10168 -
試料 1593 1786 1509 4888 46.2 333 611 584 1528 85.0

セグロセラ練り込みPP織基布使用カーペット

試験ダニ:ヤケヒョウヒダニ

1.0%セグロセラ添加PP織基布 開始時 4週間後 8週間後
N1 N2 N3 N1 N2 N3 合計 効果(%) N1 N2 N3 合計 効果(%)
ブランク 119 110 124 876 680 962 2518 - 9253 8926 9603 27782 -
試料 60 122 96 278 89.0 192 177 145 514 98.1

効果の持続性

セグロセラ含有パイル使用のカーペット

試験ダニ:ヤケヒョウヒダニ

ポリエステル糸 洗濯条件:JIS L 0217-103に準拠。 乾燥条件:130℃×60分

ポリエステル糸 4週間後 8週間後
N1 N2 N3 合計 効果(%) N1 N2 N3 合計 効果(%)
ブランク 1568 876 888 3332 - 10588 19732 12152 42472 -
セグロセラ3%含有 500 676 880 2056 38.3 224 468 1016 1708 96.0
染色後、10 回洗濯 612 572 304 1488 55.3 3632 4260 3180 11072 73.9

ナイロン糸 洗濯条件:2ステップクリーニング法

ナイロン糸 4週間後 8週間後
N1 N2 N3 合計 効果(%) N1 N2 N3 合計 効果(%)
ブランク 662 868 988 2518 - 686 952 1114 2852 -
セグロセラ3%含有 274 128 278 660 73.8 18 16 8 42 98.5
染色後、10 回洗濯 462 374 484 1320 47.6 62 78 54 194 93.1

効果の持続性(加速試験)

有機系忌避剤との比較

加速条件
81℃ × 48時間 = 3年に相当、
81℃ × 80時間 = 5年に相当、
81℃ × 160時間 = 10年に相当
N1 N2 N3 合計 効果(%)
有機系 ブランク 1517 1160 1590 4267 -
81℃ × 48時間 901 1096 1260 3257 23.7
セグロセラ ブランク 1968 2571 1906 6415 -
81℃ × 48時間 23 27 11 61 99.0
81℃ × 80時間 29 24 23 76 98.8
81℃ × 160時間 24 19 27 70 98.9

他素材防ダニ剤との比較

安全性の高い無機系防ダニ剤はセグロセラだけです。

忌避剤
(1)トルアミド系化合物
(2)有機酸エステル系化合物
(3)ピレスロイド系化合物
揮発成分によりダニを寄せ付けない 安全性: 揮発分アレルギー・弱い毒性
耐熱性: 弱い。分解蒸発しやすい
臭 気: 有り
揮発性: 有り
効果寿命: 短い (6ヶ月~1年)
殺ダニ剤
(1)有機リン系化合物
(2)有機酸エステル系化合物
神経毒でダニを殺す 安全性: 毒性強い
耐熱性: 無い。分解蒸発する
臭 気: 有り
揮発性: 有り
効果寿命: 非常に短い
防カビ剤系
(1)有機スズ化合物
(2)エーテル系化合物(トリクロサン)
ダニの餌の一種であるカビを防止することにより、ダニを減らす。 安全性: 低い(ダイオキシンの発生など)
耐熱性: 低い(ダイオキシンの発生など)
臭 気: 無し
揮発性: 少ない
効果寿命: 短い(1年~2年)
増殖抑制剤
ホウ酸系化合物
SEGUROCERA
ダニの水分調節機能を乱し、生殖できないようにする。 安全性: 高い (LD50>2000mg/kg)
耐熱性: 高い (550℃以上)
臭 気: 無し
揮発性: 無し
寿 命: 長い(5年~10年以上)

安全性

セグロセラは種々の安全性データを取得しています。以下にその一例を示します。

  • 急性経口毒性試験
    マウスにおいて 5000mg/kg(または2000mg/kg) を単回投与したところ、異常や死亡例は認められなかった。
  • 皮膚一次刺激性試験
    OECD化学物質毒性試験方針(1981年)の方法で、ウサギに何ら刺激反応は認められなかった。
  • 変異原性試験
    労働省告示第77号(昭和63年9月1日)の方法で、溶媒対照に比べ復帰変異コロニー数の増加は認められず、突然変異誘起性は陰性であった。
  • 皮膚感作性試験
    モルモットを用いてMaximization法により試験し、皮膚感作性はないものと判定された。

応用例

住宅用内部材、自動車室内部材、列車客室内部材など密閉された環境での用途に無揮発性のセグロセラは最適です。

樹脂
(成形品、フィルム、シート)
カーペット用基布、クッションシート、壁紙、など
繊維 カーペットパイル、布団綿、布団カバー、ベットシーツ、ブランケット、など
不織布 カーペット用基布、ベット内装材、など
塗料 家具、床塗料、壁塗料、畳用塗料、など
建材 床材、壁材、など

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